鈴木大介

僕らには積もり積もった辟易という共通点がある。ここ数年で大手メディアがこぞって発信するようになった「貧困コンテンツ」についてのいらだちだ。 ドロップアウトを経験したことのない優等生的大手メディアの記者や、エロと貧困の現場なんか縁もゆかりもないナントカ先生たちがいきなり現れて、したり顔で浅はかに女性の貧困とセックスワーク界え隈えの諸問題を語る。 社会の裏側とははるかに遠いところに生きてきた彼らは、取材対象者を自力で見つけることもできず、安直に困窮者の支援サイドからの紹介や、そもそもみずから「苦しい、助けて」と声を出せる困窮者を報道した結果、見逃せない弊害も生まれてきてしまった。